女性や若者が活躍しICT企業が集まる街を目指して「INAバレープロジェクト」|チャレンジナガノ2023 DEMODAY #2

長野県が主催(運営事務局:株式会社Publink)する、長野県内の市町村が抱える課題を、多様な企業とのオープンイノベーションによって解決する取り組み「おためし立地チャレンジナガノ(以下「チャレンジナガノ」)」。

2021年度に始まったこの取り組みは、3年目を迎えました。

1年目は60者、2年目は51者、3年目は61者と、引き続き、多くの企業からの応募を集めています。

2024年3月7日に開催された『チャレンジナガノ2023 DEMODAY』の様子をレポートしていきます。

※本記事は、原則全文書き起こしとなりますが、イベントや話者の意図が一層伝わるように、一部(事務連絡、言い淀み、繰り返しなど)編集を加えております。
※記事内の肩書などは、イベント当時のものとなります。

女性や若者が活躍しICT企業が集まる街を目指して「INAバレープロジェクト」

伊那市役所 商工振興課 柴 氏(以下、伊那市 柴):皆さんこんにちは。長野県伊那市商工振興課の柴と申します。私たち伊那市の課題解決したい「テーマ」は、「女性や若者が活躍し、ICT企業が集まる街を 一緒につくりましょう。」というものです。この写真のように 取り組みが広がるよう、「INAバレー プロジェクト」と名前をつけました。

伊那市 柴:長野県伊那市の位置ですが、日本の大体真ん中にありまして、東京、名古屋からは車で2、3時間のちょうどいい距離にあります。またリニア中央新幹線が通れば、より都市部との交流が生まれると期待されています。

伊那市 柴:伊那市が抱える課題は3つありまして、課題の1つ目は、特に若者と女性の人口減少です。グラフでお示ししたように、将来推計人口の減少率は、国や県よりも大きくなっていて、2045年には2015年の70.3%になる見込みということ、また20代の若者や女性の人口減少が顕著になってきています。

伊那市 柴:課題の2つ目は、女性が活躍できる環境がまだまだ整っていないということです。市で行った女性へのアンケートによると、活躍したいとお考えの女性はいるものの、家事や育児、勤務形態がネックとなって、なかなか就労に至っていないという現状があります。

伊那市 柴:課題の3つ目ですけども、市内にはICT関連の企業が少なく、情報分野で働く人も少ないということがあります。情報通信系で働く方は伊那市全体の従業員の0.5%という数字になっています。

伊那市 柴:そこでこうした課題解決に、コロナ禍を経て浸透したICT分野の働き方には、自由度や柔軟性があるということから、伊那谷になぞらえて「INAバレープロジェクト」ということで課題解決に取り組んでいきたいと考えております。

伊那市 柴:取り組みの結果、本事業の目指すゴールですが、「ICTによって柔軟な働き方ができる地域の醸成」と、「女性と若者が地元に戻ってきてくれるようなまちの活性化」を目指しています。

伊那市 柴:私たち伊那市が企業様にできることですが、まずセミナーの参加者への直接的なアプローチ、セミナー開催場所となる市の施設の利用料免除、その他補助金を含めた事業支援を検討しています。

伊那市 柴:マッチング企業様と一緒に行いたいことが3つあります。1つ目はICT人材の育成、2つ目はICTスキルを活かした就労、3つ目にICT企業の集約ということです。マッチングさせていただいた企業が2つありますけども、株式会社グリーンウォーターズ様は、「GSchool」という対話型のオンラインスクールを開講されており、「地元での情報系の人材育成」や「受講者の就労の斡旋」をしていただけるということで、本市の課題解決にマッチしました。株式会社Hajimari様は、地元でIT人材が雇用できれば、伊那市内で事務所を開設していただけるということで、本市のICT企業の誘致という課題にマッチしました。以上が、今回のマッチングで2社の企業様を選択させていただいた理由となります。

伊那市 柴:これはチャレンジナガノで協力企業様を募る際に、私たちから発信したメッセージですが、伊那市がもつ美しい自然や素朴な人柄、そしてまだ未開であるこの地域で、新しい伊那市を私たちと一緒に作っていただけませんかという投げかけで企業様にご依頼させていただきました。

伊那市 柴:最後になりますけども、この風景は、美しさ雄大さで伊那市民に大変愛されている仙丈ケ岳です。南アルプスの主峰で標高は3033mあります。この写真の景色のように、夢が広がる未来をつくっていくためにチャレンジしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

株式会社Publink 代表取締役社長 栫井(以下、Publink 栫井):柴様、ありがとうございます。では続きまして企業様からお話を伺いたいと思います。Hajimari様お願いいたします。

株式会社Hajimari:DX人材の育成支援と地方創生の実現

株式会社Hajimari 柳澤 氏(以下、Hajimari 柳澤):この度重要推進枠として伊那市様と御縁をいただきました、株式会社Hajimariの柳澤と申します。「DX人材の育成支援と地方創生の実現」というテーマで発表させていただきます。

Hajimari 柳澤:チャレンジナガノで取り組んだ地域課題です。まず「地元人財のはたらく機会創出とICT産業の活性化」という取り組みをさせていただきました。

Hajimari 柳澤:まず弊社の紹介をさせていただきます。株式会社Hajimariと申しまして、本社は東京渋谷にあります。10年前に設立し、メイン事業として、ITのプロフェッショナル人材と企業をマッチングする事業を設立当初からやっています。その中のひとつとして「システム開発サポート事業」をもっており、こちらを今回地方でやりたいと考えています。

Hajimari 柳澤:「TUKURUS」という事業で、「企業と地域の明日を創る」というテーマでやっています。簡単に申しますと、地方でIT人材を採用したり、ポテンシャル人材を採用して、IT人材に育てるようなことをやりたいなと考えております。

Hajimari 柳澤:弊社のビジョンは「自立した人材を増やし、人生の幸福度を高める」と掲げており、地方でも自立した人材を増やしていこうという思いでやっております。

Hajimari 柳澤:簡単な自己紹介ですが、長野県長野市生まれで現在は藤沢市に住んでおります。二拠点生活で長野へ通っているという状況です。

Hajimari 柳澤:伊那市様との取り組みについて、短期計画と長期計画の紹介です。2024年3月まではWEB媒体を利用しての人材募集・面談を行っております。

Hajimari 柳澤:4月からは人材が採用できたらオフィススペースを設置して、業務開始&引き続き採用継続と考えています。

Hajimari 柳澤:実際に取り組んだことが大きく4つございます。1つ目はWEBメディアで、2023年12月22日よりIT人材募集掲載を開始し、現在のところ閲覧数76PV、お気に入り数と応募数は残念ながら0件となっております。

Hajimari 柳澤:2つ目に、2023年12月29日に開催された、上伊那シゴトフェスで求人チラシを配布させていただきました。ご覧いただいているようなチラシをつくりまして、伊那市様に配布いただいているところです。難易度が高く、まだ応募はいただいていない状況です。

Hajimari 柳澤:3つ目に、2024年2月8日に上伊那広域連合様とのワークショップに参加させていただきました。出てきた案から行政DX推進係との連携に発展しています。

Hajimari 柳澤:これからの開催になりますが、2024年3月13日に、伊那市オンライン講座「地方で活躍するIT企業」に参加させていただく予定です。IT企業への就労に興味のある学生さんなどに向けた講座に参加させていただく予定です。

Hajimari 柳澤:伊那市様とのご縁で、グリーンウォーターズ様ともご縁をいただきましたので、一緒にできることに取り組んでいきたいと考えています。

Hajimari 柳澤:今後の取り組みについては、WEBメディアの掲載を継続していきます。2名以上採用できた時点で、拠点を構えさせていただきたいと思っております。またIT人材以外での採用を検討しております。東京・渋谷で行っている弊社のインサイドセールス部隊の拠点を地方に構える検討を進めています。

Hajimari 柳澤:今回いただいたご縁を大切にして、今後もつながり続けていただければ幸いです。ご清聴ありがとうございました。

Publink 栫井:Hajimari・柳澤様、どうもありがとうございました。では続きましてグリーンウォーターズ様、よろしくお願いいたします。

株式会社グリーンウォーターズ:IT教育と企業・人材をつなげるプラットフォーム構築

株式会社グリーンウォーターズ 川合 氏(以下、グリーンウォーターズ 川合):「IT教育と企業・人材をつなげるプラットフォーム構築」に関してお話させていただきます。株式会社グリーンウォーターズの川合と申します。よろしくお願いいたします。

今回の取り組みのベースとなっている、私どもの「GSchcool」というIT人材育成のためのプラットフォームについて、簡単にご紹介させていただきます。

グリーンウォーターズ 川合:その特徴は主に3つです。一つ目「一緒に学ぶ」です。ログインしてメタバースの学校に登校していただくと、授業を講師と仲間と一緒に学ぶライブ対話形式となっています。

グリーンウォーターズ 川合:二つ目は「一緒に成長する」です。ホームルームの時間を作りいろんな相談を受け付けています。学ぶだけではなく、一緒に成長できるように伴走していきます。

グリーンウォーターズ 川合:三つめは「企業と人材をつなぐ」ことです。BtoB、BtoC、共にGSchoolを活用していただいている両者をつなぐことということをやっています。

以上、一緒に学び成長することを目指したプラットフォームを展開しています。このプラットフォームを活用して今回の取り組みのベースを作らせていただきました。

グリーンウォーターズ 川合:目的に関してですが、①地域企業のIT人材を育成すること、②地域企業への地域人材の就業サポート、この2つを目的とした取り組みとなっています。今回早々にトライアルが具体的に決まりましたので、その内容を元にお話しさせていただきます。

グリーンウォーターズ 川合:一つ目は、「企業内人材向けITオンライン研修」を開催することになりました。その内容は地域のニーズに合わせたIT講座を開講するだけでなく、そのあと面談を実行し、課題対策や今後の計画策定を一緒に考え、必要であれば伴走し、目標達成に向けて進んでいこうというプロジェクトになっています。

グリーンウォーターズ 川合:もうひとつは、地元企業と地元の人材をつなぐというプロジェクトです。

グリーンウォーターズ 川合:今回は、伊那市Web講座「地方で活躍するIT企業」というタイトルでウェビナーを開催させていただきます。

長野に就職を考えている人を対象に、Hajimari様を含む長野に事業所を展開しているIT企業3社に登壇していただき、地方でも頑張っている企業がたくさんある、地方でも活躍できる場があるというお話をすすめていきながら、接点をつくっていきます。

グリーンウォーターズ 川合:またそれを活用して学ぶ場も提供させていただきます。GSchoolに参加した方々に無償で提供し、あわせて地元の企業や就活イベントの情報を提供しながら伴走していきます。

グリーンウォーターズ 川合:もう一つの目的として、まずは地域に特化した集団形成を進めていくことを大きな目標として取り組んでいきます。

短期の目標としては自治体・教育機関の皆様と連携しながら、地域の企業と地域の人材に対して学ぶ機会を提供しつつ、両者をつないでいくという座組をきっちり作っていくことを目標としています。

あわせて中長期的には企業誘致や起業、UターンやIJターンの促進につなげていくという取り組みも進めていければと思っています。まずは座組をきちっとつくりあげ、それを拡大していくことで少しでも地域活性のお役に立てればという取り組みです。

Publink 栫井:グリーンウォーターズ 川合様、ありがとうございました。2社様のITの市場を広げるサービス、そして人材育成の裾野を広げていくという強力タッグでございます。ではチャレンジナガノで取り組まれてどうだったか、伊那市様コメントお願いいたします。

伊那市のコメント

伊那市 柴:なかなか行政がままならない部分がございまして、予算取りが難しいところや、決まったことをやるのは得意ですが、手探りで進めている事業に関してすごく不安がありましたが、皆様のサポートで何とかやってこれています。

ハンズオンの支援で気づいたことですが、ワークショップで様々な方のご意見を聞く機会をいただき、大変参考になりました。行政だけで実施する事業は失敗することが多いので、事業構築する際には、事前にこうして多くの方の意見をお聞きすることが必要だと感じました。

Publink 栫井:柴様ありがとうございます。課長の柴様自らガンガン行動される自治体です。