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長野県が主催(運営事務局:株式会社Publink)する、長野県内の市町村が抱える課題を、多様な企業とのオープンイノベーションによって解決する取り組み「おためし立地チャレンジナガノ(以下「チャレンジナガノ」)」。
2021年度に始まったこの取り組みは、3年目を迎えました。
1年目は60者、2年目は51者、3年目は61者と、引き続き、多くの企業からの応募を集めています。
2024年3月7日に開催された『チャレンジナガノ2023 DEMODAY』の様子をレポートしていきます。
※本記事は、原則全文書き起こしとなりますが、イベントや話者の意図が一層伝わるように、一部(事務連絡、言い淀み、繰り返しなど)編集を加えております。
※記事内の肩書などは、イベント当時のものとなります。
アルプスがふたつ映えるまち、駒ヶ根市の魅力発信による地域の活性化
駒ヶ根市 企画振興課 小池 氏(以下、駒ヶ根市 小池):長野県駒ヶ根市役所 企画振興課の小池貴彦と申します。
駒ヶ根市 小池:まず駒ヶ根市は、長野県でも南信と言われる地域で、東京から200kmほど、中央道で2時間30分、名古屋から140km、中央道で1時間45分といった場所でございます。
長野県南部の伊那谷のほぼ中央に位置しまして、東に南アルプス、西に中央アルプスの3,000メートル級の山々を町から望める場所でございます。人口は31,000人余りでございます。
駒ヶ根市 小池:駒ケ根市には観光客が大勢来ております。以前には住みよさランキングでも全国一位を取っており、その後も上位をキープしております。
また観光客につきましては、標高2,612メートルの駅まで運べる駒ヶ岳ロープウェイを活用して、中央アルプスの千畳敷カールの方に多くのお客さんがお越しいただいております。
また清らかな水を使って、多くの企業が活躍していただいていまして、養命酒製造さん、南信州ビールさん、アイスクリームの日進乳業さんにお越しいただいております。
駒ヶ根市 小池:駒ヶ根市では、大きく市街地エリアと駒ヶ根高原エリア、また農村エリアと分かれており、コンパクトな街であります。
駒ヶ根市 小池:また取組といたしまして、まずJICAの駒ヶ根訓練所ということで、全国に二つ拠点がある訓練所のひとつが駒ケ根市であるということ、また青年海外協力隊のOBの皆さんで構成している、青年海外協力協会の本部があるということもありまして、国際協力にも力を入れて進めております。
駒ヶ根市 小池:今回ピッチ時の具体的な課題としまして、この三点を挙げておりました。先ほども駒ケ根市の特徴を申し上げたんですが、まず認知度が高くないといったところ、まず駒ケ根市を知って一度来ていただきたいということ。また観光以外でも魅力的な課題を創出したいといったような話題を3つ挙げておりました。
駒ヶ根市 小池:その中で、結果的に一択集中ということで、「様々な魅力的なコンテンツを活かしたい」に絞っていきました。
駒ヶ根市 小池:募集時に企業様に期待したところとして、魅力的なコンテンツを造成いただける会社様、また駒ヶ根のブランディングとして。魅力発信やPRができる会社様、また集客チャンネルやプラットフォームを提供できる会社様に期待しておりました。
駒ヶ根市 小池:企業様の選定としては、結果的に今回幅広く募集したということもあり、33事業者様からご提案をいただきました。
その中で重要視したのが、企業様の事業展開が具体的にイメージがしやすかったこと、現在市が求めている提案だったこと、また企業様からの熱量を感じられたこと、といった三点です。
駒ヶ根市 小池:そういった中で、今回ご縁をいただいたのが、関係人口の増加策の生涯活躍の街構想という取り組みをしているんですが、その中でワーケーションや、教育旅行といった市が進めている事業であったり、また企業様も前例のある事業でしたので、NTT東日本さんとマッチさせていただいております。
またアンテナ株式会社様なんですが、こちら市長肝入りの新規事業「それこまがねでできます「それこま」プロジェクト」、また「シンコマガネ」プロジェクトを進めているんですが、一方で、まだ進め方を模索中といったところもありましたので、企業様にはアイデア出しや伴走をしてもらいたいという期待がありました。このほかにも協業の可能性のある企業様もいらっしゃいますので、今後も進めていく予定です。以上です。
Publink 栫井:駒ケ根市 小池様ありがとうございます。では早速企業様のお話に入ろうと思います。
二回目の登場となります。NTT東日本様、よろしくお願いいたします。
東日本電信電話株式会社:アクティブな関係人口創出に向けたワデュケーションプログラム開発
東日本電信電話株式会社 阿部 氏(以下、NTT東日本 阿部):NTT東日本の阿部でございます。よろしくお願いいたします。
駒ヶ根市におきましては、「アクティブな関係人口創出に向けたワデュケーションプログラム開発」というテーマで今回検討を進めさせていただいております。
NTT東日本 阿部:繰り返しになってしまって恐縮なんですけども、NTT東日本について再度お話しさせていただきます。弊社は東日本エリアで17都圏で電話や、インターネット接続サービスを提供している日本の通信インフラを支えている会社になります。先ほども申し上げたんですが、現在一通信事業者の領域から脱却して、地域の新たな価値創造企業、ソーシャルイノベーションパートナーになる、そういうスローガンで現在変革に取り組んでいるところでございます。
NTT東日本 阿部:その変革を推進する組織といたしまして設立されたのが、私が所属している地域循環型ミライ研究所という組織になります。
設立の目的は、これまで通信事業者としては関わりが薄かった、地域に根付いている文化・食・自然といった地域資源に着目して、それに携わる地域の方々との連携を深めて、NTTがこれまで培ってきた技術力・組織力も掛け合わせて、ヒト・モノ・カネ・データ等の地域大循環を作っていこうというものになります。
NTT東日本 阿部:設立してちょうど一年なんですけども、今取り組んでいるテーマが。地域資源にICT技術を掛け合わせて、都市部と地域機関の新しい人の流れを創出しようという取り組みになります。
移住される定住人口でも、単に観光で訪れる交流人口でもない、関係人口というワードが今注目されておりますけれども、関係人口の中でも、その地域に何のルーツも持たない方が、思いを持って頻繁に行き来するようになる、アクティブな関係人口というのをいかに創出していくのかというのが、今の私どもの主要な研究テーマとなっています。
NTT東日本 阿部:このアクティブな関係人口を創出するために、今私たちが進めているのが「ワデュケーション」というものになります。いわゆる「ワーケーション」に「エデュケーション」学びの概念も取り入れた、弊社が作った造語になるんですけども、私どもNTT東日本のようなリモートワーク推進企業における、いわゆる場所にとらわれない働き方ができる社員と、人手不足に悩む地域をマッチングして、本業をリモートワークで継続しつつ、その地域の一次産業等に参画して、その地域のことを学んで肌感覚で深く理解してもらって、そして地域愛を育んでもらう。それによってアクティブな関係人口を測れないかというプログラムになっています。
NTT東日本 阿部:このワデュケーションを制度として確立して、社会に広く普及させるために、昨年度、新潟県の佐渡市で実証実験を行っています。午前中は佐渡の特産品である「おけさ柿」の選果場で地域住民の方と一緒に働きつつ、午後から廃校を利用したコワーキングスペースで通常業務を行うという取り組みを、社内の有志を募って三週間にわたり実施しています。
その結果をレポートとしてまとめているんですけれども、参加した方が後々ふるさと納税を実施したり、経済的なつながりを持つこと、参加したことで佐渡への愛情が高まったというのを定量的に確認することができております。ですので、参加者及び実施地域両方において、社会的、経済的な価値を確認できたんですけども、いかにその関係性を長く維持していくのかというところが今後のポイントになっています。
NTT東日本 阿部:今回チャレンジナガノを介して、駒ヶ根市様とご縁をいただきました。駒ヶ根市においては、駒ヶ根ワーケーションということで、既にワーケーションに関しての豊富な実績ノウハウを有していらっしゃいます。
これまで複数回ディスカッションを重ねてきているんですけども、観光業を中心に弊社のワデュケーションの受け入れが可能かどうか、実施後どのような形で関係性の維持が可能かという点も含めて、駒ヶ根版のワデュケーションプログラムの具現化に向けた検討を現在進めています。
NTT東日本 阿部:目標としては、2024年度中に駒ヶ根市にて何らかの実証実験を実施して、レポートのような形でまとめて、今後のワデュケーションプログラムの普及に努めていきたいと考えています。
その中で関係性を維持するための仕掛けとして、なにかファンサイトのようなものを構築できないかとか、ファミリーワーケーションみたいな形で参加者の裾野を広げられないかということも考えており、その具現化に向けても引き続き協議を重ねていきたいと思っています。
NTT東日本 阿部:繰り返しになりますけれども、このチャレンジナガノに参加させていただきまして、Publink様および県の担当者の方に本当に多大なご支援をいただきました。
駒ケ根市に関しましては短い間にも関わらず、スムーズに検討を進めることができていると感じております。今回貴重な機会をいただき、本当にありがとうございました。以上になります。
Publink 栫井:ありがとうございました。では二社目、続きましてアンテナ様よろしくお願いいたします。
アンテナ株式会社:シン“KOMAGANE”プロジェクトのプロモーション戦略。地域全体を巻き込んだ情報発信強化を。
アンテナ株式会社 吉井 氏(以下、アンテナ 吉井):弊社アンテナと申しまして、WEBの制作会社ですが、ナショナルクライアントのWEB戦略とか、WEBマスターの代行を主軸に事業しております。
アンテナ 吉井:そして弊社チャレンジナガノの事業化第一号として、諏訪市さんで地域事業者のWEBやSNSでの情報発信支援を事業化させていただきました。
アンテナ 吉井:そして二期目ですが、51社115の提案があった中で、重点枠の3/4で採択いただくなど、私どものICTでの情報発信の取り組みが、どの地域ニーズにでもマッチするような、大きな成果を収めることが出来たと思っています。
アンテナ 吉井:この一期二期の事業については、今全て事業化しているというのが私どもの今の実績になります。ちなみに、弊社14名の小さな会社でございます。これらの取り組みを事業化できているのは、地域のニーズに我々のサービスが答えられている結果であると思っています。
アンテナ 吉井:実際に地域の課題ですが、各自治体様の個別の課題では、このような内容が多いかと思っておりまして、それを私どもはICTの情報発信という形で、地域の事業者さん、自治体さん、それらをSEOというテクニックを使って、解決していく提案をしております。この度駒ケ根市さんの取り組みでも、この実績と積み上げたノウハウを使って行っていこうと思っております。
アンテナ 吉井:今回チャレンジナガノでは、駒ケ根市さんが進めている「シン”KOMAGANE”プロジェクト」の情報発信強化をテーマとして、地域全体を巻き込んだ情報発信を進めていこうと思っています。
アンテナ 吉井:まず「シン”KOMAGANE”プロジェクト」ですが、こちら二地域居住者、観光客、ワーケーション、テレワークなどの駒ヶ根市とつながる人たちに、「新市民」として関わってもらうための、プロモーション戦略につなげていくような取り組みで、キャッチフレーズとして「それ、駒ヶ根でできます」という統一ロゴを制作して、ブランド戦略を展開中のものとなっています。
アンテナ 吉井:そこで今期取り組むにあたって、まずは現状を把握すべく、駒ヶ根市のホームページの解析などいたしました。その結果、プロジェクト全体の世間的な認知を上げていくことが、喫緊の課題じゃないかと思っております。
アンテナ 吉井:ではどうやってその認知を高めていくかというと、「それ」=「個別のコト」をコンテンツ化するのが急務と思ってまして、だいたいこれを行政の方が作ると、駒ヶ根という地域押しで終わってしまうことが多いんですが、本来このプロジェクトの大事なところは、「それ駒ヶ根でできます!」の「それ」をいかに世に伝えられるかにかかっております。
アンテナ 吉井:「それ」を起点に駒ヶ根を知ってもらうことが非常に大事でして、役場が発信するではなくて、「それ」に関係する人たちがみんなで発信していく、そんなスタイルを作っていくように計画いたしました。
アンテナ 吉井:イメージの図はこんな形ですが、地域全体で発信を相互補完するような取り組みを計画しております。私どもはその中で市の情報発信、市内事業者の発信、SEOという三つの柱で支援していきたいと思っております。
現状、既存の事業者さんとの調整や、駒ヶ根市さんの方での協議会の設立であったり、いろんな課題もまだまだ残っておりますが、それらを解決して、来期私どもが参画した結果、今まで事業化している他の市町村さんと同様にこの取り組みを成立させていって、みんなで作っていく、みんなで発信していくというスタイルを築いていきたいなと思っております。
アンテナ 吉井:この事業は長野県様、Publink様の支援によって進んだ部分を非常に多く感じておりまして、これからも課題は多々あるかと思いますけども、この流れを止めぬよう努めていきたいなと思っております。
最後に、弊社いろんな地域の自治体さんの情報発信を一緒に成立していきたいと思ってますので、よろしければご視聴の皆様も、お問い合わせいただけたらと思っております。以上となります。
Publink 栫井:アンテナ様ありがとうございました。それでは二社様との出会いを受けて、駒ヶ根市さんコメントお願いできますでしょうか?
駒ヶ根市コメント
駒ヶ根市役所 企画振興課 吉澤 氏(以下、駒ヶ根市 吉澤):駒ヶ根市役所の吉澤といいます。よろしくお願いします。
駒ヶ根市 吉澤:それでは振り返り一点目ですけども、チャレンジナガノの事業は県のスキームのため、県の皆さんが仲介していただいて、内部への説明が容易にできて、事業の進み方をスムーズにできたことが、非常に安心してできたと思っております。
二つ目は皆さん、先ほどの自治体様も言っておりますけども、フォローや伴走が非常に手厚いというところであります。似たようなマッチング事業に参加しておりまして、比較しても、コーディネーター、またファシリテーターの方がいらっしゃいますので、振り返りや課題の整理も一個一個できて、非常にスムーズにできたかなと思っております。
三つ目として、一方、事業設定にあたっては内部調整に苦慮した点があります。やはり事業が横断的なところがあり、内部調整ができていなかったり、我々の方も事業提案の固まってない提案でございましたので、企業様にはご迷惑をおかけしたところがありましたけれども、事業をなるべく調整して提案することが必要かなと思っております。
最後になりますけども、ぜひ来年度も参加したいということで、いろいろ駒ケ根市も課題がありますので、このチャレンジナガノ事業を使わせていただきまして、いろいろな企業様の提案を受けていきたいなと思っております。以上です。
Publink 栫井:チーム駒ケ根市の皆さん、どうもありがとうございました。本当にポテンシャルの大きな市町村でございます。以上で、重点推進枠の方のプレゼンが終了です。