【イベントレポ】問題は意思決定の場に? 日本のジェンダーギャップが埋まらないワケ| 裏霞#7

官×民入り混じってのオンライン飲みイベント「裏霞」。

堅くなりすぎない雰囲気で、登壇者と参加者の交流を促進するために毎月1度開催しています。

第7回目となる今回は、トビタテ!留学JAPANや文科省の広報としてご活躍中の西川氏と地方移住・まちづくり研究者の伊藤氏をゲストにお招きし、地方×ジェンダー平等×ウェルビーイングなどについて率直な議論が行われました。

今回も議論の内容を一部レポートとしてお届けします。

※文中、意見にわたる部分は個人の見解です。

※本イベントは、オンラインサロン限定かつチャタムハウスルールにて開催しているため、本記事内では承諾の頂けた発言に限り掲載しております(希望によって記事では匿名化も行っています)。全内容が気になる方はぜひ下記バナーをクリックして、「パブリンガルサロン」のご入会をご検討下さい。

高齢化やジェンダーギャップ、日本のプレゼンスは失われつつある

──西川氏ははじめに短いプレゼンを行い、自身の地方に関する考えをメンバーに向けて発表した。

西川氏によると、今日の日本では急激な少子高齢化と地方の過疎化、国際社会におけるプレゼンスの低下、国民のウェルビーイング、ジェンダー平等などに課題があると感じているという。

高齢化に関しては、2060年に日本の人口の4割が高齢者になり、社会保障のあり方を考えなければならない時期にある。

国際社会におけるプレゼンスについては、世界の人口が増加する中で日本の人口が減少し続けていること、企業の時価総額ではグローバル企業に追いつけなくなっていること、IMDによる国際競争力順位が下がっているなどがあげられた。

幸福度、ウェルビーイングに関しては、2020年の「世界幸福度調査」において順位が低く、特に社会参加などの指数となるソーシャルキャピタルでは132位となっている。

ジェンダーギャップはより深刻で、世界経済フォーラムによると日本のジェンダー平等は156か国中120位と先進国の中では最低レベルだ。女性管理職も先進諸国に比べて低い水準にある。

ジェンダーギャップで特に問題となるのが、政治分野での女性の参画だ。西川氏は、地方創生を担う人材の確保という観点からも、地方のジェンダー平等の重要性について語った。

──西川氏のプレゼン後、各サロン会員との意見交換が行われた。

サロン会員:地方の例で言えば、最近行われた兵庫県豊岡市の選挙では、「ジェンダーギャップの解消」を掲げた中貝氏に対し、「ジェンダーギャップの解消は最優先ではない。ブームに乗っているだけではないか」と発言した関貫氏が勝利するなど、ジェンダーギャップという言葉が市民にとって遠い存在になっているのではないかと思います。

若い女性たちよ、戻ってきて!|NHK

また、豊岡市は芸術文化と観光をつなぐまちづくりに力を入れており、演劇に力を入れてきた。しかし、関貫氏は市長選の中で「演劇のまちづくりはいらない」と否定的な立場も示していました。

演劇のまちづくりで揺れる?志願者約8倍、豊岡「専門職大学」学長に聞く|Forbes

西川氏:目先の利益のパワフルさを感じますね。

サロン会員:ジェンダーギャップやウェルビーイングなどの話題は、地方の高齢者などにはなかなか響かないところがあると思います。正直、日本人の言葉の中に落とし込めていないんじゃないかな。

何となくですが「寛容性」という言葉でまとめることができると思っています。男性が働いているところに女性が入ってきてもいいじゃないか、という感覚です。

また、地域活性化という視点では、よそ者が入っていくことを受け入れる必要があります。そういう意味で、どうやってカタカナ語を日本の伝統文化の中に落とし込めるか、それができていないからあの市長選のような結果になったのではないかと思います。

政治の問題はジェンダーだけじゃない?「オジサン政治」の不健全さ

西川氏:ジェンダーに関しては、男性同士の社会の中だけでコミュニケーションしていた方が、自分たちの既得権益を守ることができると考えている世代がまだまだいると思います。

男性の先輩が男性の部下を飲みに誘って、女性はそこに参加しない。すると、仕事はその女性の方ができるかもしれないのに、評価されず椅子取りゲームで男性が勝ってしまう。

サロン会員:意思決定する場に女性がいなことによる不利益は確実にあって、市民の声を届ける議員に女性がいないのは大きな問題です。市民の半分は女性なので、みんなの声が届けられる体制にしなければならないですよね。

──ここからサロンは、ジェンダーという考え方そのものへの議論に移ってゆく。

サロン会員:ジェンダーの話をすると、ある党派や思想グループの持ち物のように見えてしまうというところもこの問題を語りづらくしている要因ではないかと考えています。

サロン会員:ジェンダーの話をするときは、機会の平等と意思決定などに参加する際の平等は分けなければならないと思います。機会の平等が達成されていないということももちろんなのですが、組織では民間企業でも戦略として男女が意思決定に等しく参加することが重要だと認識されています。

また、先ほど西川さんが見せてくださったジェンダーギャップ指数については、教育や健康分野が0.9以上と高いスコアなのに対し、政治では0.06と大きく外れている。

ここまで極端にギャップがあると、単にジェンダーの問題だけではないのではと感じてしまいます。例えば、日本の政治は男性の中でも特に高齢男性が多くを占めています。つまり、男性の中でも世代間格差が深刻になっているということです。

このように手寧に論点を絞っていくと、「ジェンダー」では通じない人達にも問題意識が伝わるようになるのかもしれません。

西川氏:まだまだ問題はあるんですが、それでも状況は徐々に良くはなっています。10年前だったら育休になって職場に戻ってこない女性もいたと思いますが、社会進出は進んでいます。女性管理職は確実に数を増やしています。

ただ、家事育児の女性への負担は未だに諸外国に比べて重く、7:3程度になっています。このような負担が女性の社会進出を妨げているのは確かなので、そこは改善していかなければならないですよね。

──その後も西川氏とともに議論を深めていく。

(ライティング:江連 良介、編集:深山 周作)