【イベントレポ】「地域の課題解決の伴走者でありたい」|次世代空モビリティと地域連携 オンライン居酒屋 裏霞 #05

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官と民、入り混じってのオンライン飲みイベント「裏霞」。

フランクな雰囲気で、登壇者と参加者の交流を促進するために毎月1度開催しています。

第6回目はゲストに経済産業省 次世代空モビリティ政策室 室長補佐 伊藤 貴紀氏をお招きし、ドローン・空飛ぶクルマ・週一官僚・地域のまちづくりなどについてや問題意識を率直に語っていただきました。

伊藤氏とサロン会員との対話をサマリでお伝えします。

※文中、意見にわたる部分は個人の見解です。
※本イベントは、オンラインサロン限定かつチャタムハウスルールにて開催しているため、本記事内では承諾の頂けた発言に限り掲載しております(希望によって記事では匿名化も行っています)。全内容が気になる方はぜひ下記バナーをクリックして、「パブリンガルサロン」のご入会をご検討下さい。

日本のドローン技術は企業のアライアンスとともに発展してきた

──伊藤氏によると、経済産業省 次世代空モビリティ政策室のメンバーは、プロパー職員が伊藤氏と室長だけだと言う。また、週に1日だけ官僚の仕事をする「週1官僚」も在籍しており、政策室は多様なバックグラウンドを持ったメンバーで構成されていることが伺える。

伊藤氏は今のポストに就く以前、ベンチャー企業に出向していた経験がある。出向先ではIoTデバイスを使った福祉サービスのマーケティングやセールスを担当していたという。

伊藤氏の自己紹介が終わると、サロン会員との対話に移る。
主な話題は「空飛ぶクルマ」や「ドローン」、「地域ビジネス」。

ちなみに空飛ぶクルマは、都市の交通問題や通勤・通学、離島や山間部での新しい移動手段として経産省が期待を寄せる新たな交通手段だ。経産省では2018年8月から「空の移動革命に向けた官民協議会」を開催し、空の移動改革に向けた検討を行ってきた。

次世代モビリティ|経済産業省

そんな注目の取組の推進者ということもあり、サロン会員からは、矢継ぎ早に質問が飛ぶ。

サロン会員:空飛ぶクルマの実証実験は主に国内で行われていますが、海外でも実験を行うことで国内での実用化を効率的に進めることはできないのでしょうか。

私も海外にいますが、国内とは違った課題があり、実験を行う余地はあるのではないかと考えます。

伊藤氏:空飛ぶクルマの実証実験を海外で行うのはあり得ると考えています。ただ、例えば、日本のドローンベンチャーなども見ていて、海外に展開していくハードルは高いと感じています。

ドローンを活用したビジネスを進める際、まずは社内で技術を磨いて、日本国内でお客さんをある程度見つけながら送電線の点検やインフラの点検などの実証を行い、技術をソリューションに昇華させるというプロセスがあります。

この発展段階に海外という選択肢が入る余地は少ないのだと思います。

ただ、一部の企業は既に海外に進出し、海外での実証やビジネスを積極的に進め、そこで得た成果を日本に持ち帰ることも考えており、こうした動きは素晴らしいと思います。

──他方、多くのベンチャー企業にはそこまでの資本力はないため、当面の間は国内需要に特化した動きが見られそうだ。

また、ドローン関連の話題では社会実装に向けてどのような分野にニーズが見られるのか会話が交わされた。

サロン会員:基本的にドローンは地域課題や従来の業務の課題を解決するために使われる。

例えば、送電線の点検など、危険を伴う作業などにドローンが使えるととても便利になりそうですね。そういったニーズもあるのでしょうか。

伊藤氏:実際にドローンのマーケットでは点検分野が一番成長するだろうと言われていますね。

人が作業していて危険を伴う領域には、ドローンを社会実装することでリスクを減らすということは現実的な話だと思います。

地域ビジネスの価値は短期的な視点からだけでは測れない

──次に、伊藤氏がチャレンジしてみたいが着手できていない課題について、サロン会員との会話が交わされた。

伊藤氏:霞が関の中でできるかはわかりませんが、地域で課題解決をする人と外の人を繋ぐ役割を担ってみたいんです。

役人としてのこれまでの仕事も生かせそうな気もするし、潤滑油になる人がいると課題解決のスピードが上がっていくんじゃないかなと思っています。

東京でずっと働いている企業の方は現場を持ちにくいというのもあると思いますし、現場の課題に寄り添いながらビジネスを考えるという点では、間に立つ人がいるともう少しうまくやれるんじゃないかという気がしています。

また、経産省の中でもっとやりたいこととして、課題解決に携わる企業やNPO、市役所の方、霞が関の他省庁の方なども含めたコミュニティ、エコシステムをつくりつつ、経産省の中にも一つの課題を細く長く伴走し続けられる役人の集団をつくることです。

今は2、3年くらいで人事異動があり、目先の仕事だけに集中してしまう傾向にあります。

でも、例えば少子高齢化に5年、10年かけるようなライフワーク的な仕事の仕方ができれば、決まりきった政策ツールで課題解決をするのではなく、長い期間一つの課題を追いかけ現場と伴走しているからこそできる課題解決の仕方を見つけられるのではないかと考えています。

サロン会員:私もそう思います。マーケットを点でとらえるのではなく、より長い時間軸でとらえる必要がある。

例えば、10万人規模の地域に電気を売ろうとしても、全然規模としては成り立たない。でも、1700ある市町村に横展開するだけでとても大きなマーケットになりますよね。

あるいは、地域の活性化をしていくことで1000人の街が2000人、5000人になれば、マーケットは数倍になります。

でも、今の企業のリスク管理や収益評価では、自分たちでマーケットを大きくしていくという発想を取り込めていない。そこをしっかり取り込めば、企業の地域ビジネスの価値をもっとちゃんと測れると思っています。

──議論の中では、地域ビジネスの真の価値を見極めることの難しさについてやり取りが交わされた。

伊藤氏は、空飛ぶクルマ事業に携わっている中で、企業と地域のロジックの違いについて話した。

伊藤氏:市場規模の話がでると社内で動き出せる人も多くなる。でも、地域はそのような企業のロジックに合わせて動いてくれないこともあります。

ドローンをやっている会社から見ると、ドローンによる地域の課題解決は短期的には儲からない。

将来的に都市部に実装する前段階として小規模な地域で実証やビジネスをしていくのか、あるいは最終的に地域の中でお金が回るような形でドローンがうまく社会実装されていく形を模索するのか。

そうしたことも考えていく必要があると思っています。

──その後も伊藤氏はサロン会員とともに議論を深めていく。

(ライティング:江連 良介、編集:深山 周作)