いまさら聞けない。再延長した緊急事態宣言・まん延防止等重点措置について整理しよう

4月23日に発令された3度目の「緊急事態宣言」は、ついに3度目の期間延長が決定した。6月20日まで、実に57日間にも及ぶことになった緊急事態宣言だが、これまでと違うのは「新型コロナウイルスワクチン」という打開策が少しずつ広まりつつある点だ。

そこで今回は、緊急事態宣言の再延長と、新型コロナウイルスワクチンの現状と今後の展望についてまとめるとともに、事業者への経済的支援の重要性について指摘する。

緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の変更内容

実施期間|6月20日まで延長

まず実施期間については、6月20日まで延長されることになった。4月25日から数えて計57日間におよぶ実施期間は、1度目の緊急事態宣言の実施期間49日を超えたことになる。一方で2度目の緊急事態宣言は73日間に及んでいることを考えれば、まだまだ予断を許さない状況であると言えよう。

対象地域・実施内容|変更なし

対象地域についてはこれまでと変更がなく、引き続き東京都・大阪府・京都府・兵庫県・愛知県・福岡県・北海道・岡山県・広島県・沖縄県の10都道府県が対象となっている。

また、実施内容についても、政府からの要請指針については変更がない。ただし、具体的な要請内容については都道府県が独自に定めることができ、これまでも東京都や大阪府では百貨店や大型商業施設、映画館、美術館などに対して独自に休業要請等を実施してきた。こうした独自の要請に関してはいくつか緩和等の動きが出ているため、注視しておく必要がある。

まん延防止等重点措置|5県で期間延長

まん延防止等重点措置については、5月31日までが期限の埼玉県・千葉県・神奈川県・岐阜県・三重県の5県について、6月20日まで延長されることになった。これら以外の群馬県

・石川県・熊本県の3県については、期限通り6月13日で解除される見通しとなっている。

まん延防止等重点措置の対象区域は、各県が市区町村レベルで指定することになっている。神奈川県が平塚市・小田原市・秦野市の3市を追加することを検討しているなど、各県ごとに変更がある可能性はあるので、この点も注意が必要だ。

緊急事態宣言が延長された3つの要因

今回、緊急事態宣言が延長された要因として、菅総理は記者会見にて3つの事象を挙げている。

  • 新規感染者数の予断を許さない状況
  • 重症者数・死亡者数の高止まり
  • 変異株による影響

中でも特に重要なのは、変異株による影響であると考えられる。現在、国内ではいわゆる「英国型」や「インド型」などいくつかの種類の変異株の感染が拡大しており、既存型に置き換わりつつある。変異株の中には感染力や重症度が高いと推測されているものもあることから、緊急事態宣言の解除にはより慎重な判断が必要な状況になっている、という訳だ。

新型コロナワクチンの現状と今後の展望

接種済みは1000万人超え、接種回数は1日約50万回

緊急事態宣言の延長に際して菅総理は、「感染防止」と「ワクチン接種」の二正面作戦で成果を出したい旨を強調し、国民に強力を呼びかけている。感染防止については緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置の延長がその手段となるが、ワクチン接種についてはどのような状況なのだろうか。

ワクチン接種は現在、医療従事者および高齢者を対象とした接種が進められており、6月1日時点で1000万人を超える人が1回目の接種を終えている(うち2回接種完了は約360万人)。東京や大阪での大規模接種センター運営開始に伴い、1日あたりの接種回数も増加しており、現在は1日で約50万回のペースで接種が行われている。

6月以降は、高齢者への接種の見通しがついた市町村から、一般対象の接種が開始される予定となっており、1日あたりの接種回数も6月中旬以降には100万回を目指す旨が明言されている。

ワクチン接種の加速に向けた2つの施策

日本では、ワクチンの数量確保については順調に進んでいる一方で、接種の加速に際して「どこでワクチンを打つか」「誰がワクチンを打つか」の2つが課題となっていた。

ワクチン接種会場については、現在の公共施設や医療施設に加え、今後はプロ野球やJリーグの協力を仰ぎ各チームのホームスタジアムも活用されるほか、350校の大学がキャンパスなどを提供可能としているなど、接種会場の増加に期待が持てる状況となっている。また、6月21日からは職場や大学でのワクチン接種が開始される見込みである。いずれも地域のワクチン接種体制に影響を及ぼさないよう、企業や大学が自ら接種の担い手を確保する形式で行われる予定だ。

ワクチンの打ち手についても、従来は医師、保健師、助産師、看護師、准看護師のみが接種可能となっていたが、4月26日付けの厚生労働省からの通達により歯科医も可能となり、さらに救急救命士や臨床検査技師なども特例で接種を行うことが可能となる方針が示されている。

会場確保と打ち手の拡充。これら2つの取り組みが順調に進めば、新型コロナワクチンの接種ペースが一層加速していくことを期待できるだろう。実際に、全国の地方自治体の約99%が高齢者向けのワクチン接種を7月末までに完了できる見通しであると政府の調査に対して回答している。

事業者への経済的影響と支援の必要性

一方で気になるのが、緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の延長に伴う、事業者への経済的な打撃だ。3度目の緊急事態宣言だけでも36日間、3度の宣言を合計すると160日にも及ぶ休業要請や営業時間短縮要請は、飲食店業を中心に多くの事業者に対して経済的な影響を及ぼしてきた。それに加えて今回の20日間にも及ぶ期間延長は、苦しい状況にある事業者にさらなる影響を与えることになる。

この点に関して政府は、雇用調整助成金の特別措置の継続や、政府系金融機関による実質無利子・無担保融資の期限の延長などといった支援策を講じることとしているが、これらの取り組みだけで事業者やそこで働く労働者を支えきれるかは不透明な状況だ。

また、都道府県単位で実施されている休業要請等に係る協力金についても現在、支払いの遅れが指摘されはじめている。支払いの遅れの理由には事業者が提出する書類の不備も含まれるというが、いずれにしろ固定のコストが毎月発生する事業者にとっては、協力金が今月入るか来月になるのかで大きな違いが出てくる。より円滑な手続きと支払いが急務になっていると言えよう。

まとめ

新型コロナウイルスの新たな変異種の感染拡大、それによると見られる新規感染者数等の感染状況への悪影響。これらを考慮すれば、今回の緊急事態宣言等の延長は、感染防止対策の観点からは妥当なものだと言えよう。一方で、それによる飲食店等を中心とした事業者への影響は大きなものであり、引き続き十分かつ円滑な支援策の実施が求められる。

また、6月20日という期限設定には、7月23日より開催予定の東京オリンピックを見据えた意図も感じ取れる。1か月前までに感染状況をある程度抑え込み、オリンピック開催のムードづくりにつなげたいという意図だ。

しかし、国民が本心からオリンピックを歓迎するためには、感染状況の抑制はもちろんのこと、自らの生活の安定も重要な要素となるのは、言うまでもないだろう。

緊急事態宣言により影響を受けた事業者や、そこで働く労働者やその家族に向けた支援策を積極的に実行することに加えて、それらの情報をより届く形で発信していく努力が、政府はもちろん我々のようなメディアにも求められていると言えよう。

引用・出典・参考

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