【解説】延長した緊急事態宣言の要請内容を整理しよう

4月23日に発令された3度目の「緊急事態宣言」。1度目や2度目と比較して内容が厳しい集中的な措置であったのにも関わらず、新型コロナの感染拡大の勢いはなかなか衰えを見せない。

このような状況に対して政府は5月7日と5月14日に相次いで緊急事態宣言の期間延長および区域変更を実施。これに伴い、措置の内容も現状に合わせる形で部分的に変更されることになった。

そこで今回は、延長した緊急事態宣言の要請内容を整理していこう。

緊急事態宣言を変更前後で比較

さっそく、緊急事態宣言の変更内容について、変更前後で比較しながら見ていこう。

内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室ウェブサイト「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言・まん延防止等重点措置」を参照

実施期間|5月31日まで延長

まず実施期間については、5月31日まで延長されることになった。過去2度の緊急事態宣言でも期間が延長されていたこと、特に今回は当初の実施期間が短かったことを合わせて考えれば、今回の期間延長はある程度予測できた事態とも言える。

また、2度目の緊急事態宣言では2回、実施期間が延長されており、最終的には73日間にまで伸びている。今回の緊急事態宣言についても、新型コロナの感染状況によっては再度、実施期間の延長が行なわれる可能性がある点を頭に入れておくべきだろう。

対象地域|新たに愛知・福岡・北海道・広島・岡山を追加

対象地域には、これまでの東京都・大阪府・京都府・兵庫県に加えて新たに5月7日の決定では愛知県・福岡県の2県、5月14日の決定では北海道・広島県・岡山県の1道2県が指定された。

新型コロナウイルス感染症対策本部「第63回(令和3年5月7日開催)資料」新型コロナウイルス感染症対策本部「第64回(令和3年5月7日開催)資料」を参照

5月7日開催の新型コロナウイルス感染症対策本部にて提示されたデータを見ると、愛知と福岡ともに人口あたりの新規感染者数が大きく増加傾向にあること、それにより受入確保病床に占める入院者数の割合も増えてきている状況が見て取れる。

特に福岡県は、新規感染者数の増加幅がかなり大きく(2週間でおよそ2倍、3週間でおよそ3倍)、受入確保病床に占める入院者の割合もすでに東京を超えており、医療現場がかなり逼迫した状況になりつつあることが伺える。

また、北海道でも新規感染者数が3週間の間に4倍ほど増加という感染急拡大が進んでいることがわかる。このデータに現れている事態の切迫さは、政府の急転直下の方針転換による北海道への緊急事態宣言の発出にも現れていると言える。

一方で、先に緊急事態宣言が発令されていた東京・京都・大阪・兵庫では、対人口の新規感染者数が減少傾向に切り替わっている。このことを緊急事態宣言による効果だと言うことは早計ではあるが、いずれにしろ逼迫した状況にある医療現場への負担の緩和につながることを願いたい。

店舗・施設|酒類持ち込み可の飲食店にも休業要請・大型商業施設は時短要請に緩和

飲食店に対する要請については、利用客による酒類の持ち込みを認めている店舗が、新たに休業要請の対象に加わった。これには、これまでグレーゾーンであった酒類の持ち込みについて一定のルールを明示化することで、事業者側の不公平感を解消する狙いがあると見てよいだろう。

大型商業施設等に対する要請については、休業要請から営業時間の短縮要請(午後8時まで)へと緩和された。ただし、都道府県がそれぞれ独自の判断で措置内容を継続することも可能となっており、東京都や大阪府では、ショッピングセンターや百貨店等の商業施設、博物館や美術館、科学館などに対して引き続き休業を要請。京都府や兵庫県では、平日は時短営業、休日は休業といった形で区別して要請を出すことにしている。

イベント|条件付きで有観客開催可に緩和

イベントに関しては、無観客開催の要請から人数上限・収容率等の規模条件付きでの有観客開催可へと緩和されている。具体的には「人数上限5000人かつ収容率50%」「開催は21時まで」が現在の規模条件となっている。

また、3度目の緊急事態宣言では当初、テーマパークや劇場等に対しても無観客開催、すなわち実質的な休業が要請されたことが物議を醸した。今回の変更ではイベントへの規制の緩和と同様に、テーマパーク等についても人数条件等の規模条件付きで有観客での営業が可能となった。

ただし、これも都道府県によって措置内容を決められることになっている。東京都では、テーマパークおよび劇場、観覧場、演芸場については要請が緩和された一方で、映画館やプラネタリウムに対してのみ休業要請を継続。大阪府ではテーマパークおよび劇場、観覧場、演芸場、映画館、プラネタリウムなどに一律、休業要請を継続している。

まん延防止等重点措置の変更

まん延防止等重点措置による対応についても、いくつか変更が加わっている。

宮城県については唯一、変更前の定めどおり5月11日を以って重点措置が終了した。ただし、仙台市については12日以降も、接待を伴う飲食店や酒類を提供する飲食店に対象を絞って営業時間の短縮が引き続き要請されている。

埼玉・千葉・神奈川・愛媛・沖縄の5県については実施期間が5月31日まで延長されている。特に千葉県や神奈川県では新規感染者数が依然として増加傾向にあるため、今後も注意が必要な状況が続くだろう。

5月9日には岐阜・三重の2県が、5月16日には群馬・石川・熊本の3県が重点措置の対象地域に加わった。期間は岐阜・三重両県は5月31日まで、群馬・石川・熊本の3県は6月13日までである。特に岐阜県については、16日まで10日連続で新規感染者数が100人を超え、緊急事態宣言の要請が出されるなど予断を許さない状況となっている。

まとめ

内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室ウェブサイト「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言・まん延防止等重点措置」を参照

今回の変更では特に、大型商業施設やイベントに対する措置内容の変更について都道府県ごとに判断が異なっており、線引きの複雑さや不透明さなどにより事業者の間で混乱が生じている。

3度目の緊急事態宣言を5月31日で終えられるかは、まだ分からない。感染状況によっては更なる期間延長や地域拡大もあり得るだろう。そうなった時に国民や事業者が納得して行動自粛等を行なうためにも、国や都には引き続き丁寧な説明が求められる。

引用・出典・参考

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